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2015.11.16
[イベントレポート]
「2005年以降、アート志向の作品が増え、そこから生まれた作家達がさらに交流を深め続けている」CROSSCUT ASIA#02 熱風!フィリピン シンポジウム『第3期黄金時代』とは?ーフィリピン若手監督が語る-10/26(月)

シンポジウム_第三期黄金時代とは何か

©2015 TIFF

 
【登壇者】
司会:石坂健治(東京国際映画祭 プログラミング・ディレクター)
ゲスト:
ローレンス・ファハルド(『インビジブル』監督・脚本)
ポール・サンタ・アナ(『バロットの大地』監督・脚本)
ウィルソン・ティエン(『グランドマザー』製作/配給、『インビジブル』『バロットの大地』エグゼクティブプロデューサー)
 
石坂健治プログラミング・ディレクター(以下、石坂PD):本日はフィリピン映画に関するシンポジウムということで、映画の作り手と製作、配給をされているお三方に、現在のフィリピン映画の状況について、それぞれの立場から語っていただきたいと思います。日本に例えると、ぴあフィルムフェスティバルから出てきた若い監督お二人と、東宝のような会社の社長さんが一緒に並んでいるような感じですね。
 
シンポジウム_第三期黄金時代とは何か

左からポール・サンタ・アナ監督、ウィルソン・ティエンさん、ローレンス・ファハルド監督
©2015 TIFF

 
石坂PD:現在、フィリピン映画の3回目の黄金期が来ていて、2005年から10年続いていると言われています。2005年からという根拠の一つは、ブリランテ・メンドーサ監督がデビューしたこと年であること、もう一つはシネマラヤという若手を支援する映画祭が始まった年であることです。まさに今日の監督お二人は、シネマラヤに限らず、この10年でそうした脚本のコンペや、若手に映画を撮らせるという映画祭からどんどんのしあがってきた二人です。そしてウィルソン・ティエンさんはブリランテ・メンドーサ監督のプロデューサーであると同時に、映画祭を支えるパトロンでもあります。そういう意味では第三黄金期の二つの側面の、象徴的な人達であると言えます。
まず、ローレンスさんはついに日本でロケをして撮影するというところまで来られましたが、若手のための映画祭をどんどん活用されてきたと思います。今、この話についてどう思いますか?
 
ローレンス・ファハルド監督(以下、ファハルド監督):僕は映画作家であると同時にプロデューサーも兼ねて低予算で撮りました。今の若手の監督がどうしているかというと、賞金が出る映画祭であるシネマラヤや、ティエンさんが始めたシナグマニラ映画祭に脚本を提出することによって助成金を得られるという仕組みがあるので、そういったかたちで映画を実現するという人が多いのではないかと思います。
 
ローレンス・ファハルド

©2015 TIFF

 
ウィルソン・ティエンさん(以下、ティエンさん):今、ファハルド監督がおっしゃったように映画祭が賞金を出すことがありますが、あとは個人で若手を支援するという方もいらっしゃいますね。それから、メトロマニア映画祭というのがクリスマスの12月25日から1月まで開催されていて、こちらは資金集めも大きな役割の一つです。例えば海賊版を防ぐための資金であったり、映画人の福祉のためのファンドなど、そうしたことの資金集めになっているんです。
シネマラヤ映画祭は2005年にスタートしたんですが、昨年から長編の助成をやめて短編のみになってしまったんです。それを聞いて、私とブリランテ・メンドーサ監督でシナグマニラ映画祭を立ち上げました。そして5本の映画の脚本を募り、それが実際に映画化されたわけです。そのうちの2本である『インビジブル』と『バロットの大地』は特に様々な世界の映画祭を巡回しています。さらに、2016年5月のシナグマニラ映画祭開催に向けて募集をかけたところ、すでに100以上のエントリーがあります。この中で私たちが選ぶのは5本のみですが、映画が出来上がったあかつきには是非来年の東京国際映画祭で上映いただきたいと思います。
 
ウィルソン・ティエン

©2015 TIFF

 
石坂PD:ポールさんは脚本家としてスタートし、今は映画作家ですが、やはり映画祭も通過してきていますよね?
 
ポール・サンタ・アナ監督(以下、アナ監督):第三黄金期というお話が出ましたが、2005年にそれがスタートしたというのは、ブリランテ・メンドーサ監督の『サービス』がカンヌ国際映画祭のコンペに選ばれ、さらにシネマラヤ映画祭もスタートしたということ、そしてもう一つ大きな要素はデジタル化という要素があります。デジタルカメラによって多くの若手の映画作りが容易になったということですね。そうやって実験的に作りたいものを作れるようになりました。非常に芸術的なアート志向の強い作品なども増えて、そこから生まれた作家達、作品というのがさらに交流を深めて今も続いていると言えます。
さらに具体的な資金の話をしますと、2005年以前のフィリピン映画というのは「死んでいる」と言われていたんですね。つまり作品数が少なかったんです。というのも、長編を仕上げるには1500万フィリピン・ペソは必要とされていたからです。いわゆるフィルムセルロイドで撮るので、お金がかかるわけなんです。それがデジタル化によって50万フィリピン・ペソもあればある程度のものは撮れるくらいにまで身近になったんです。
 
ポール・サンタ・アナ

©2015 TIFF

 
石坂PD:低予算で撮れるようになり、例えばミンダナオの監督が出てきたり、地域性も非常にバラエティー豊かになったなという印象があります。特にミンダナオスクールというか、ミンダナオ派にすごく勢いがあるなと感じます。
 
ファハルド監督:ミンダナオ派という一派があるというほどではないと思います。理由の一つとしては、ミンダナオの地域には映画学校というものがないことです。ちなみに私もビサヤス出身で、いわゆる映画教育というものを受けていないんですね。元は演劇畑の出身で、俳優やプロダクションデザイナーをしているうちに、カメラを使って映画を撮るという映画作りに魅せられてしまいました。ミンダナオのほうで皆さんがどうされてるかはちょっと分からないんですが、十分ストーリーには事欠かない地域ですから、そういった意味でどんどん出てきているのではないでしょうか。
 
ティエンさん:そしてですね、これはブリランテ・メンドーサと私が共通したビジョンを持ち合わせていたからか、あるいは潜在的・意図的な理由があったのかははっきりしないのですが、今回のシナグマニラ映画祭で選んだ作品はすべて異なる地方の作品になります。『SWAP』という作品はセブで撮ったのでセブ語になっています。また『Bambanti』という北部で撮られた作品はロカルノの映画祭でも上映されました。なので、多様性を見せるということですね。これは私が運営してるテレビ局のニュースでも言えることです。英語、タガログ語に加えてセブアノ語、パンパンガの言語といった方言でも流しています。
 
アナ監督:やはりメインストリームとされる映画はほとんどマニラで撮られているか、マニラを中心に展開しているわけです。ですから商業映画を観ているとマニラの生活ばかり私たちは目にすることになります。また、こういった作品はほぼタガログ語で撮られていますね。ある意味ビサヤスやミンダナオの人にとっては、逆に観ても分からないというようなことが起きたりするわけです。ところがシネマラヤ、やシナグマニラといった映画祭では多様性を非常に重視して、そういった各地方の人とも映画作りを可能にしている、かつ、映画芸術の目で妥協を強いられる必要は無いということです。
 
ファハルド監督:実は今ポールさんがおっしゃったように、タガログ、マニラ中心ということはありますが、やはり主要な言語ですので、そうならざるを得ないというところはあります。実は2005年のシネマラヤ一期生の作品の中に、私の『Kultado』という短編も入っていました。私はビサヤス出身ですからイロンゴ語という方言で撮ったんですが、ちょっと馬鹿にされたりもしたんですよ。私の方言をみんな分からないわけですし。ですからあえて地元の声を生かしたいと思って方言で撮りました。シネマラヤでは私の作品は字幕がついたんですね。ですからみなさんにも分かってもらえました。他の短編の監督にとって僕はもう外国人、外国映画の混じったような印象ですよね。ただ幸いにもこの時のシネマラヤで審査員賞をもらうことができました。
 
Q:フィリピンの現在のシネコンやマーケットはどういう状況ですか?作られた映画を売る場合、国内や海外の配分はどういった感じになっているんでしょうか。
 
ティエンさん:フィリピンのマーケットはハリウッド中心ですね。大手スタジオのアメリカの作品がほとんどですが、最近ではより、地元の国内の映画がかかるという方向へシフトが見られます。つまり、上映日を地元の映画が獲得して、より長く上映できる機会が増えていますね。4年ぐらい前のある作品から、こういったインディペンデント映画が成功を収めるようになりまして、最近メトロマニラでかかった『English Only, Please』という作品などは2億フィリピン・ペソの興行を収めたりと、そんな作品が出てきているわけです。また、今も上映中の『ヘリラルルナ』という作品、これはまったく大手スタジオと関わっていません。若手が興行成績をあげているというのはSNSによるところが大きいですね。これは中国や日本でも同じかと思います。マーケティングにおいて、デジタルメディアを駆使することが成功に大きく影響している、それができればある意味で大手スタジオの力を借りなくてもいいという状況が生まれています。
映画においては権利状況も変わってきています。先ほどポール・サンタ・アナさんがおっしゃったように、アウトレットとかプラットフォームが非常に増えているわけです。以前はホームビデオくらいしかなかったわけですが、ビデオオンデマンドといったかたちで映画の収入様式も多様になりました。

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