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2015.11.16
[イベントレポート]
「人間の力ではどうにもならないような、自然に起きてくるドラマを描きたかった」コンペティション『家族の映画』-10/29(木):Q&A

FamilyFilm

左から イジー・コネチニーさん(プロデューサー)、ルカーシュ・ミロタさん(撮影監督)、イェノヴェーファ・ボコヴァーさん(女優)、オルモ・オメルズ監督|©2015 TIFF

 
10/29(木)『家族の映画』の上映後、オルモ・オメルズ監督、イェノヴェーファ・ボコヴァーさん(女優)、ルカーシュ・ミロタさん(撮影監督)、イジー・コネチニーさん(プロデューサー)をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
オルモ・オメルズ監督(以下、監督):皆さんこんにちは。東京で上映できてとても嬉しく思っています。この映画を楽しんでいただけたら嬉しいです。なんでも質問に答えます。
 
イェノヴェーファ・ボコヴァーさん(以下、ボコヴァーさん):コンニチハ。私は今回日本に来るのが初めてです。大変嬉しく思います。本日は来ていただいてありがとうございます。
 
ルカーシュ・ミロタさん(以下、ミロタさん):皆さんこんにちは。私はこれで4回来日しています。また日本に来れて嬉しく思います。
 
イジー・コネチニーさん:東京国際映画祭に呼んでいただき嬉しく、感謝しております。チェコの映画として出品されていますが、実際のところ5カ国が参加しております。チェコ以外はドイツ、スロベニア、フランス、スロバキアです。
 
Q:まず監督に質問です。この話はどのようにして生まれたのでしょうか。
 
監督:このアイデアは、ある夫婦が太平洋を船で渡った際に愛犬が迷子になり、その犬は1ヵ月のあいだ自力で生き延びていた……という記事を新聞で読んだ時に生まれました。非常に印象的なストーリーだったこともありますし、映画の中で15分間、人間や犬が不在にする場面を考えて非常に面白いと思い、その瞬間に興味を持ちました。不在は繰り返されていて、「親のいない子供たち」「子供たちのいない親」「家族のいない犬」という3つのテーマで、不在というものについて考えさせられるような構成・原則になっています。
 
Q:ボコヴァーさんは、脚本を読まれたときにどう思われましたか?
 
ボコヴァーさん:実際に撮影に入る1年ほど前に脚本を見せられました。オーディションを受けた当時とその後のシナリオは、基本的なアイデアは同じでしたが、内容はかなり変わりましたね。オーディションの時に監督に好感を持って、彼を信じることで良い映画になり、私にとっても良い経験をさせていただけると思いました。
 
Q:犬の島のシーンの撮影の苦労話を監督と撮影監督からお聞かせいただけますか?
 
監督:30~35日間、俳優さんとの撮影がずっと続きまして、それから、場所と内容を犬の撮影に切り替えなければなりませんでした。映画の中では犬は1頭ですが、撮影に使用したのは3頭です。犬の集中力が1日4時間くらいしかもたないので、かわりばんこで撮影しました。撮影では二つの方法を用いていて、一つはトレーナーが訓練して指示をしながら、もう一つは自然な姿での撮影もしました。
 
ミロタさん:犬を使っての撮影はもう少し自然なシーンが撮れるかと思っていたのですが、実際は難しくて、トレーナーさんに頼っていました。人間の俳優と同じような手順でしたね。私たちがこうしてほしいというのをトレーナーさんに伝え、それを訓練していただき、訓練していただいたものに私たちが手を加えて撮影しました。
 
Q:ヤシの木が倒れるシーンはどうやって撮影したんですか?
 
ミロタさん:雷を待っていました……というのは冗談です(笑)。何のトリックもなく、現地で燃やして倒しました。前日のテストでは上手くいかなかったので、本番はどきどきしていましたね。
 
Q:オットー(犬)の演技、素晴らしかったと思うのですが、撮影では思う通りに撮れたのでしょうか。
 
監督:このシーンは、シナリオの中では本当に最後の二言ほどの文章なのですが、撮影自体はとても大変でした。場所が空港のところで、時間がなかったんです。オットーが飼い主の顔に反応して、分かるというところは大きなポイントです。血が繋がっていようが何であろうが、彼が家族のボスなのだと反応している。それが一つのメッセージです。
 
Q:家族を描く映画でよく観るのは、問題をみんなで共有して解決していくような話です。しかし今作は家族の何かが不在にしているという状態が続いて、そこで発生する問題はそれぞれが解決しながら進んでいきます。監督は作品を通じて「こういう家族はだめだよ」と言いたいのか、それとも「実は家族って普遍的にこういうものだよね」と描いているのか、そこをお聞きしたいです。
 
監督:まず、映画の中でこの家族を批判しているつもりはないです。どちらかといえば、この家族と何か共有できるようになれればと思います。私が興味を持っていたのは、例えば生きている間にはいろんなドラマチックなことが起きますよね。おそらく一般的な映画の中で起きるのドラマとは、若干違うドラマだと思います。この映画の中で実現したかったのは、人間の力でどうにもならないような、神様から降りてくるというか、そういう自然に起きてくるドラマです。
 
Q:それは監督がチェコのニューリッチ、ブルジョワ階級の家族について危機感を抱いているということではありませんか?
 
監督:こういった家族を選んだのは、別にブルジョワ家族への危機感とか、ブルジョワ家族に対して何か言いたいことがあるというわけではありません。むしろこのストーリーを実現させるにはまずお金が必要です。お金がないとそもそも旅に出られない。お金持ちというのは一つの条件だったんですね。映画の中でお金持ちの家族を教育しようとか、批判しようということは全くなくて、むしろ私が彼らを理解しようと思っています。例えば、作中でお母さんは自分の中で葛藤が起きていますよね。母として、子供たちを放って旅に出るという面と、一方で自分の夢を実現したいという面。それを私の中で理解したいと思います。ブルジョワ層や上流階級を扱う映画では、アイロニックな表現を使ったり批判をしたりというケースがありますが、この映画の中ではそれを避けたかったんです。
 
Q:最後にボコヴァーさんから一言いただいけますか?
 
ボコヴァーさん:この場にいられることを本当に大変嬉しく思います。また、私をここにキャスティングいただいた監督にも大変感謝しております。そのおかげで私は東京に来ることができました。ありがとうございました。

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