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2015.11.13
[イベントレポート]
「映画監督になりたい人は、人生を台無しにする覚悟がいると思います」日本映画監督協会新人賞『ぼんとリンちゃん』-10/29(木):シンポジウム

ぼんとリンちゃん

小林啓一監督(中央)、大森立嗣監督(右)|©2015 TIFF

 
10/29(木)日本映画監督協会新人賞『ぼんとリンちゃん』の上映後、小林啓一監督、大森立嗣監督をお迎えし、シンポジウムが行われました。⇒作品詳細
 
司会:新人賞のご感想はいかがですか?
 
小林啓一監督(以下小林監督):電話で連絡をいただいたんですが、ちょっと「自分、え?」みたいな感じでした。自信は全然なかったです、強豪ぞろいだったので。
 
司会:大森監督は7人の審査員の皆さんの中のお1人です。凄くユニークな賞ですが、審査はどんな経緯で進んでいったんですか。
 
大森立嗣監督(以下大森監督):ある程度振り分けてみて、その中からいいものをみんなでもう一回まわして観るみたいな感じだったんですが、最初に『ぼんとリンちゃん』がまわってきて「これよかったですよ」っていきなり。
 
小林監督:本当に恩人ですね。
 
司会:大森監督ご自身では、この作品のどんな部分が気に入りましたか?
 
大森監督:最初、ものすごくとっつきにくい印象だったんですよね、途中までは。ところがね、段々気にならなくなってきて、最後は食い入るように目がいっちゃって。特にホテルのシーンが素晴らしくて。なかなか難しいことにチャレンジしているなっていうところで、嫌う人もいるんだろうとも思ったけど、これちゃんと認めてあげたいというか。面白かったので。
 
司会:この作品は、既に2014年の9月に公開されていますが、この賞を受ける前はどんな反応が聞こえてきましたか?
 
小林監督:面白かったよという人もいたし、何言っているのか分からないっていう人も。気に入ってくれる人は気に入ってくれるし、駄目な人は駄目。はっきり分かれる感じですかね。ちょっとだけ好きっていうのはないと思う。
 
司会:新人賞を受賞されたということで、何かご褒美というか、副賞とかを貰えたりするのですか?次の製作費とか。
 
小林監督:いや、そういうのは別に。でも、製作費以上に周りの信頼度がぐっと増したので、お金で買えない素晴らしいものいただいたなという。
 
司会:もしかしたら、今日いらっしゃっている皆様の中には、映画監督になりたいと思っている方もいるかもしれません。映画監督にはどうやったらなれるのだろう?という話をうかがいたいのですが、小林監督はどういう経緯で映画監督になられたのでしょうか?
 
小林監督:僕はテレビ番組とかミュージックビデオをやっていて、あんまり面白くない感じがずっと続いていて。30代後半くらいで、映画作ってみろっていう話になって作ったのが前作(『ももいろそらを』)です。
 
司会:ノウハウみたいなものはどこで?
 
小林監督:なかったので、Vシネみたいなものを作ったりしていました。ノウハウは、DVDの特典とかですかね。あの監督はこうやって演出するんだ、とか。本を読んだりして。師匠がいないのでそうやって勉強していく感じでしたね。
 
司会:大森監督はどうやって?
 
大森監督:僕は助監督をちょっとやっていました。
 
司会:映画監督になりたい人に、大森さんは何と声をかけますか?
 
大森監督:人生を台無しにしたほうがいいんじゃないかって。「台無しにしなさい」って言いたい。なかなか大変ですからね。
 
司会:好きなことをやるってそういうことだよ、みたいな感じですか?
 
大森監督:覚悟が要ると思います。続けていくこともすごく大変ですし。
 
司会:大森監督は今回、東京国際映画祭で「アジアの未来」部門の審査員ですが、アジアで注目されている監督さんの作品をご覧になっていかがですか。
 
大森監督:日本がこれまでやっていたものをやっている感じはあります。一方で、映画というものがインディペンデント映画も含めて、日本のように量産できない感じがありました。世界の映画祭では、新しくて今までにないものを評価する傾向が強いです。
 
司会:小林監督も海外の映画祭などに参加されていて、合間に他の作品をご覧になって憧れることはありましたか。
 
小林監督:アメリカのサンダンス映画祭に行った時に、デンマークの監督と予算の話をして、彼は新人なのに国から3億補償されていて、羨ましいなぁとは思いました。
 
司会:監督として予算についてはどうなのでしょうか。
 
大森監督:予算が多いことは全く悪くないです。単純にスタッフが増え、規模が大きくなって。ただ芸術性よりもスタッフの使い方のような、監督術が必要とされていくので大変だと思います。
 
司会:予算がどんどん変わって、そしてキャリアが積まれて、有名になって行くと今まで出来なかったことができるけれど、今まで出来ていたことが出来なくなる、ということがあると思うのですが。
 
大森監督:いえ、全然まだそんなことは感じていないですよ。自分で選べばいい。結局、自分のやりたいことをやるっていう感じになってきちゃうね。
 
司会:なるほど。TIFFでも新人の監督さんの作品をたくさん上映してQ&Aをやっていると、編集に2年かかったので出品するのがすごく遅くなったという監督さんがいて、それは自主制作ならではの特権ではないかと思うのですが、そういうことは出来なくなるのではないでしょうか。
 
小林監督:確かに、それはそうかも知れませんね。
 
司会:小林監督は次の作品にもう着手されているとうかがったのですが、どのような作品ですか?
 
小林監督:京都を舞台にした男の子の話と、もう1本は親父の話です。
 
司会:2本ということですか。それはいつ頃観られるのでしょうか?
 
小林監督:今、4分の1くらい男の子の方を京都で撮ったんですが、時間が足りなかったので来年の3月と6月にもう一度撮りに行くのと、親父の話が8月後半くらいからやるような感じです。
 
司会:大森監督はいま着手されている作品は?
 
大森監督:編集中の『セトウツミ』という、池松壮亮くんと菅田将暉くんの二人が喋っているだけの映画を作っています。
 
司会:このシンポジウムは、大森監督が小林監督に喝を入れる会である、映画祭のディレクターから言われていますので、先輩監督として何かアドバイスをお願いします。
 
大森監督:今日映画を観させてもらって、すごい元気を貰いましたよ。
 
小林監督:本当ですか。
 
大森監督:勇気をもらいました。
 
小林監督:はい。僕も元気をいただいてます。もちろん。久しぶりに。
 
司会:これからもお二人にはどんどん素晴らしい映画を紹介してもらえたらなと思います。そして、次世代にも良い監督が出てくるように、映画を盛り上げるお二人でいてください。本日はありがとうございました。

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