Home > ニュース > 「タイの南部3県が危ないというのは、もしかしたらプロパガンダかもしれないと思ったりします」-公式インタビュー:アジアの未来『孤島の葬列』
ニュース一覧へ 前のページへ戻る
2015.11.09
[インタビュー]
「タイの南部3県が危ないというのは、もしかしたらプロパガンダかもしれないと思ったりします」-公式インタビュー:アジアの未来『孤島の葬列』

孤島の葬列

左からウックリット・ポーンサムパンスックさん(俳優)、ヒーン・サシトーンさん(女優)、ヨッサワット・シッティウォンさん(俳優)、ピムパカー・トーウィラ監督
©2015 TIFF

 
アジアの未来『孤島の葬列』(The Island Funeral)
製作/監督/脚本:ピムパカー・トーウィラ
女優(ライラー役、姉):ヒーン・サシトーン
俳優(スークット役、弟):ウックリット・ポーンサムパンスック
俳優(トーイ役、弟の友人):ヨッサワット・シッティウォン
 
アジアの未来部門で作品賞を受賞した『孤島の葬列』。タイの女流監督の先駆ピムパカー・トーウィラがメガホンをとった新作は、タイの中でもあまり知られていない地域、南部国境地帯で暮らす叔母を訪ねようと旅をする姉弟らの姿を描くスリリングな人間ドラマだ。トーウィラ監督、主演のヒーン・サシトーン、ウックリット・ポーンサムパンスック、ヨッサワット・シッティウォンに、この作品の背景にあるタイの問題などを聞いた。
 
――本作のプロットを思いついたきっかけを教えてください。
ピムパカー・トーウィラ監督(以下、トーウィラ監督):パッタニー県に、事件が起こる前に行ったことがあるのですが、その後しばらくしてから過激な事件が起きるようになってきました。歴史的にみて、タイの国境側の南部3県(パッタニー、ヤラー、ナラティワート)は、以前は独立した土地でした。2003年、国境南部3県でテロが発生し始めたんですが、原因がわからないのです。しかも、そのような南部の詳しいことをタイの都市部にいる人はまったく知りません。ただただ、テロがあって怖いので行きたくない、という気持ちがあるんですね。なので、これはいったいなんだろう、という疑問がわいてきたのです。
 
――南部の不安の原因はよく分からないままなのですか?
トーウィラ監督:いろんな説が流布されていますが、目的はこの3県をタイから引き離して独立させたい、この3県から関係のない人間は出ていけということらしいのです。ですからテロのターゲットになる人ははっきりしていて、公務員、警察官、軍人、それから教師。そして時に、ムスリムの宗教的指導者もターゲットになったりしています。ただ実際にどのグループが中心にやっているのかということは憶測でしかありません。
 
――大変幸せな街がたくさんある国で、そのような国の暗部があって、その国の人ですらわからないというのは、どのように感じられるんでしょう。
ヒーン・サシトーン(以下、ヒーン):テロのニュースはよく観るんですが、誰が犯人かわからないんです。だから誰が罰せられるべき人なのか、すごく知りたいと思います。ただ、南部3県は危ないというイメージが流布されているのは、もしかしたらプロパガンダではないかと。結局、「この人がやった」というのもデマだったりして。
 
ウックリット・ポーンサムパンスック(以下、ウックリット):私自身が編集者として携わった作品で、南部3県のドキュメンタリーがあります。実際に南部は軍人が警備していて、誰でもテロリストにされてしまうといった状況があります。そういった状況なので、そこに住んでいる地域の人たちは軍人やバンコクの人は嫌い、といった複雑な葛藤があるんですよ。
 
ヨッサワット・シッティウォン(以下ヨッサワット):僕は今はバンコクに住んでいますが、北部のチェンナイ県の出身なので、南部のことをほとんど知りません。ある時期、南部での爆発事件とかが大ニュースになったのに、なぜか最近は報道されなくなったことは疑問に感じています。よくわからない状況なので、はっきりしないことに対して窮屈に思っています。タイ政府は、この南部の問題をどのように解決するかという指針をまったく出していません。
 
トーウィラ監督:南部のロケで一番緊張していたのはヨッサワットでしたよ(笑)。
 
ヨッサワット:だって怖かったのだから(笑)。例えば、撮影現場の近くで地元の人が「あそこの学校の先生がついこないだ撃たれて死んだんだよね」とさらっと言われたこともあって、その状況によって自然に緊張を強いられていたのです。
 
ヒーン:私はそんなに緊張しなかったです。ただ、実際に旅をしている間に緊張感は増していきました。なぜかというと、役柄上、弟とその友達が「姉さん、俺たちを死ぬような場所に連れていくのか」というようなプレッシャーを出していたので(笑)。本作は実は順撮りではないんですが、編集はすごくて、映像を見たらとてもスムーズにつながっていたので監督はすごいな、良くできたなと思いました(笑)。
 
トーウィラ監督:一番最初に撮ったのがパッタニー県。みんなに旅する気持ちを味わってほしかったんです。事情があって時間がかかってしまい、トータルで1年かけて撮りました。おかげで弟役のウックリットが全然違う外見になってしまったり(笑)。
 
ウックリット:撮影休止中に太ってしまい、ダイエットが撮影に間に合わなかったりとかもありました(笑)。
(取材/構成 よしひろまさみち 日本映画ペンクラブ)
 
『孤島の葬列』
作品詳細

木下グループ 日本コカ・コーラ株式会社 キヤノン株式会社 株式会社WOWOW アウディジャパン株式会社 大和証券グループ ソニー株式会社 フィールズ株式会社 ソニーPCL株式会社 dアニメストア MasterCard 株式会社ぐるなび セイコーホールディングス株式会社 株式会社 TSUTAYA 松竹株式会社 東宝株式会社 東映株式会社 株式会社KADOKAWA 日活株式会社 森ビル株式会社 TOHOシネマズ株式会社 一般社団法人映画演劇文化協会 読売新聞 J-WAVE 株式会社InterFM 株式会社ドワンゴ スカパーJSAT株式会社 ダウ・ジョーンズ・ジャパン株式会社 テレビ朝日 LINE株式会社 BS日本映画専門チャンネル YAHOO!JAPAN 株式会社GyaO アサヒビール株式会社 ゲッティ イメージズ ジャパン株式会社 株式会社クララオンライン CinemaGene(シネマジーン)
KEIRIN.JP本映画祭は、競輪の補助を受けて開催します。TIFF History
第27回 東京国際映画祭(2014年度)