10/24(土) コンペティション『さようなら』の上映後、深田晃司監督、ブライアリー・ロングさん(女優)、ジェミノイドFさん(女優)、村上虹郎さん(俳優)、石黒浩教授をお迎えし、舞台挨拶が行われました。⇒作品詳細
深田晃司監督:こんにちは。映画『さようなら』の監督を務めました、深田です。この作品は1年前に撮影をして、編集に通常の映画よりもかなり長い時間、半年以上の時間をかけて仕上げを行った作品です。特に原爆などを扱った作品なので、ワールド・プレミアはぜひ日本で行いたいと思っていたところ、こうして最高の場を与えていただいたことを光栄に思っています。
ブライアリー・ロングさん(以下、ロングさん):東京国際映画祭のコンペティションでこの映画のワールドプレミアを行うことができて本当に光栄に思っております。私の初主演作品もこの映画祭で2010年に賞をとりました。私は東京国際映画祭に育てていただいているので、本当にありがたく思っています。この作品は、私たち監督、スタッフ、キャスト、プロデューサーみんなが心をこめて作った作品ですので、お楽しみいただけたら嬉しく思います。どうぞよろしくお願いします。
Q:初めてアンドロイドと共演することになり、演じてみていかがでしたか?
ロングさん:華がある大先輩なので、本当に光栄でした。私は2010年からいろいろな国の舞台でジェミノイドFさんと共演させていただいています。
ジェミノイドFさん:みなさん初めまして、レオナを演じましたジェミノイドFです。私は舞台に何度も出演しているのですが、映画出演は初めてで戸惑うことも多かったです。深田監督のご指導の下このような大役を演じきることができ、素晴らしい経験として私の中にインプットされました。
村上虹郎さん:みなさんこんにちは、村上虹朗です。最初に一言、さっき「軽く触っていいですか?」と言って、触るというか(ジェミノイドFさんに)挨拶をしたんですけど、手の感触がちょっとやばいです。それはいいとして、僕は山下という役を演じさせていただいたのですが、僕と婚約者役の木引(優子)さんだけが、この静かで深い映画の中で唯一はしゃいでいるというか、監督からは希望の二人としてそこにいてくださいと言われて、すごく嬉しく思ってそこにいました。僕の台詞の中で、ある国の名前をただひたすらに叫び続けているシーンがあるんですけど、こんなシーンはもう一生撮れない気がして本当に楽しかったです。こんな映画観たことがないので是非楽しんで下さい。今日は本当にありがとうございます。
石黒浩教授:アンドロイドを開発してから、いろいろなところでアンドロイドを使ってきました。デパートのショウウィンドウで使ったり、服を売ったりですね。その中で平田先生と出会って、演劇でアンドロイドを使うことを始めました。ロボットを人間らしくするということは、ロボットの研究や認知科学、心理科学、それだけでは足りないのです。日常生活の人間らしさを知っているのは、非常にリアリティの高い演出をされる演出家だったりするわけで、アンドロイドを演劇に使いながら、我々も工学的に学んできた点もあります。また、逆にアンドロイドを演劇に使ってもらうのは演劇界にとって大きなチャレンジだったと思います。
遂にアンドロイドが映画にも登場することになりましたが、今回、CGでロボットを表現するといったことはしていないわけです。本当のロボットが普通に演技をしているので、これも映画の中における新しい大きな一歩だと思っています。将来アンドロイドがどれだけ映画の中に出てくるか分かりませんが、また人間の役とアンドロイドの役のどちらがいいのかも分かりませんが、しかし人を表現するという幅は確実に広がってきたんじゃないかなと。人間では絶対にできない表現がいくらでもできる訳ですから、そういう意味では新しい可能性が開けたんじゃないかと思います。
Q:本日の映画が初出演となったジェミノイドFさん、実際にカメラの前で演じてみていかがでしたか?
ジェミノイドFさん:先日完成した映画を観させていただきました。映画も素晴らしいと思いましたが、私の演技も思いのほか良かったので、最優秀女優賞をいただけるのではないかと思っています。ブライアリーさんすみません。でも、私が受賞すると、アンドロイドが女優賞を受賞するのは世界初のことなので、東京国際映画祭さんとしても話題になっていいのではないでしょうか。