10/24(土)ワールド・フォーカス『民族の師 チョクロアミノト』の上映後、クリスティン・ハキムさん(女優、製作)、デウィ・ウマヤ・ラフマンさん(製作)、ナヤカ・ウンタラさん(製作)をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
クリスティン・ハキムさん(以下、ハキムさん):(日本語で)「みなさまこんにちは。私はハキムです。よろしくお願いします。」(以下インドネシア語)私はプロデューサーであるナヤカさんとデウィさんから頼まれて、まずプロデューサーになりました。また監督がヌグロホさんに決まってから、タンベンおばさん役で出演してくれないかと頼まれ、出演を決意しました。演じるだけではなく、プロデューサーとしての役割にも、大変重いものを感じております。
デウィ・ウマヤ・ラフマンさん(以下、ラフマンさん):作品を見ていただきありがとうございます。私はプロデューサーとして作品に携わっておりますが、この5年間で他に2本の作品を作っていました。1本は『日曜の朝、ビクトリアパークで(Sunday morning in Victoria Park)』という、香港におけるインドネシアの女性たちの労働状況について描いたもので、もう1本は『光の上の光(Rayya, cahaya di atas cahaya)』です。そのため今回の『民族の師 チョクロアミノト』はプロデューサーとして3本目の仕事となります。本作の製作においては、本当に素晴らしい人々と出会うことができました。それは主演のレザ・ラハディアンをはじめとした俳優陣のほか、クルーのみなさんやカメラの方の仕事も素晴らしかったです。非常にアーティスティックなチームが作れたと思います。
ナヤカ・ウンタラさん(以下、ウンタラさん):私は本作が初めて製作に関わった映画になります。また私自身は、チョクロアミノトのひ孫であり、彼の長男であるアノワールの孫であります。そして本作を製作することになった発端は、私たちチョクロアミノトの子孫が、彼の歴史を今一度知り直したい、きちんと映画として記録に残したいという思いから始まりました。
Q:どういったお考えでこのような映画を現代に作ったのですか?
ハキムさん:今の若い世代の人達はインドネシアの独立のための闘争史といいますか、そういった歴史を知らないので、まずはそれが製作に至った一番大きな理由です。
それから、私がプロデューサー・キャストとして関わった理由がもう一つあります。私はこれまで、他の国々がインドネシアやその他の国の独立闘争史を描いた映画をいろいろ観てきました。そういった映画では、戦争のシーンや激しいアクションといったエンターテインメント性を一番に描いているという印象がありました。今作では、民族の確立のためにどのような思想があったのかということに着目しています。様々な思想をどのようにして一つにまとめていったか、どのようにインドネシア国民としてのアイデンティティを確立していったか、そして民族としての誇りがどのように覚醒していったのか……そうしたものを主眼において描いた、というところに意味があると思います。
現代はグローバルな時代ですが、自分の国は他の国の植民地のようになっていないか、人間としての権利がきちんと守られているか、そういったことにもう一度立ち返って考えるべきではないかと思います。
Q:ウンタラさん、今のハキムさんの答えを聞いていかがですか?
ウンタラさん:ハキムさんの意見にとても賛成です。そしてハキムさんの経験が今回の映画製作にとても役に立ちました。あの時代のインドネシアがどれだけすごい国であったか、またスラバヤがどれだけ理想の土地であったかということをいかに世界に発信するか、そういった点でハキムさんの経験はとても役にたちました。
Q:ウンタラさんに質問です。チョクロアミノトと血の繋がっているひ孫さんということで、普段心にとどめていること、大事にしていることはありますか?
ウンタラさん:ちょっと答えるのが難しいんですが。チョクロアミノトの考え・スピリットを子孫として世界の皆様にシェアしたいと思い、この映画を作りました。
ハキムさん:私がつけ加えます。私たちも、製作を始めてチョクロアミノトという人物を深く知っていったんです。こんなにすごい人だと。しかもインドネシア人だということ。独立に非常に関与、非常に大きな力をもたらしたということにとても感動しております。
ウンタラさん:もしチョクロアミノトが1934年に死ななければ、もしかしたら最初のインドネシア大統領になったかもしれないですね。