2015年9/26(土)、27(日)の2日間、港区の赤坂区民センターで第28回東京国際映画祭プレイベント上映会が開催されました。
両日とも大勢の皆さまにお越しいただき、1ヵ月後に控える第28回東京国際映画祭をアピールしました。
26日の土曜日、『TATSUMI マンガに革命を起こした男』の上映後には、声の出演をした別所哲也さんが登壇、東京国際映画祭 矢田部吉彦、石坂健治の両プログラミング・ディレクターとの特別トークイベントが行われました。
『TATSUMI マンガに革命を起こした男』は劇画作家・辰巳ヨシヒロさんのドキュメンタリーアニメ映画。彼の半生を追いつつ、短編作品が途中に挿入される構成となっています。
別所さんは作品の中で登場人物すべての声をご担当。
本作の監督であるエリック・クーさんから、一人の人間が声色を変えて演じることによって辰巳ヨシヒロさんの短編は彼の頭の中から出てきたキャラクターが登場している点を強調付けようとしたと演出意図を伝えられたそうです。
また、エリック・クー監督は「落語」を例に挙げ、変幻自在にいくつもの役をこなすことは俳優の醍醐味があるだろうと別所さんに話したとのこと。
「全キャラクターを演じてほしい」というオファーに当惑したものの、監督の考えを聞き快諾、辰巳ヨシヒロ先生の作品を読み、その物語に隠れているもの、精神性を探り、キャラクター像を監督と相談し、想像力を膨らませ、シンガポールで行われた収録に臨んだ別所さんでした。
完成した作品を初めて観たときには、客観的に辰巳ヨシヒロ先生の世界観に引き込まれたのと同時にノスタルジックな感覚を覚えたそうです。
辰巳ヨシヒロさんの作品は戦後や高度経済成長期の暗部に光が当てられたものが多く、愛おしく、自信のないキャラクターが登場します。身長186cmの別所哲也さんですが、自身の見た目や雰囲気とは全く違う役柄を演じたことに苦労は多かったが、役者として素晴らしい経験だったと語りました。
シンガポール人であるエリック・クー監督は大の日本好きで、落語はもちろん日本のサブカルチャーに造詣が深く、特に劇画に魅了されたそうです。世界中に劇画が大好きな人がいるのに日本であまり知られていないのが残念だとお話しされ、『TATSUMI マンガに革命を起こした男』の製作のために辰巳ヨシヒロ先生のもとへ直談判に行き、世界中の劇画ファンを納得させる作品に仕上げなければならないプレッシャーとも戦いつつ、特に先生独自の筆使いを忠実に再現したとのこと。
辰巳ヨシヒロさんは2015年3月に帰らぬ人となりました。人間の不条理さや弱い部分をまっすぐ見つめ作品を世に送りつづけた姿勢は昭和の職人のような雰囲気があった一方で、奥さんと2人3脚で活動してきた柔らかさもあったと別所さんは思い返しました。
別所哲也さんは「辰巳ヨシヒロという素晴らしい劇画作家がいて、劇画というジャンルが生まれて、世界中の人から愛されているということ、そしてエリック・クーという素晴らしい方の作品に出会っていただけてとても嬉しい」と上映会に寄せて話してくださいました。
プレイベント上映会、たくさんの皆さまにお越しいただき、ありがとうございました!
第28回東京国際映画祭は10/22(木)-31(土)の10日間開催されます。
チケットは10/10(土)より発売!
第28回東京国際映画祭にどうぞご期待ください!