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2015.10.29
[イベントレポート]
「人生の“風よけ”をしてくれる人を見つけてください」ワールド・フォーカス『破風』-10/23(金):Q&A

破風

ダンテ・ラム©2015 TIFF

10/23(金)ワールド・フォーカス『破風』の上映後、ダンテ・ラム監督をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細

次回上映:10/30 10:20 –
 
ダンテ・ラム監督(以下、監督):皆さんこんにちは。2年ぶりにお会いできて嬉しいです。新しい作品『破風』を携えてやってきました。
 
Q:2年前に東京国際映画祭で上映した前作『激戦』は一種の格闘技映画で、監督は格闘技が大好きだとうかがいました。やはり、ロードレースもご自身でやっていてお好きなのですか?
 
監督:自転車が昔から大好きなのです。2001年頃からこのテーマの映画を撮ろうと思っていましたが、なかなか機会がなくて。というのも、香港映画にはスポーツ映画が非常に少ないのです。この映画と2年前の『激戦』には非常に密接な関係があります。実は『激戦』は香港での興行成績が非常によくて、そのお陰でこの作品が撮れました。この映画は長年の夢でしたので、実現できてよかったです。
 
Q:大変迫力のあるシーンがたくさん出てきましたが、地面すれすれのショットなどはどのようにして撮ったのですか?
 
監督:実は準備の時から多くの困難に直面していました。私は映画監督になって20年ぐらいになりますが、アクションについてはよく知っていると自負しております。しかし自転車を撮るとなると新人です。何もかもよくわからなくて困っていました。そういう意味では、この業界に入って一番大変だったのはこの『破風』でしたね。何もかも忘れて一生懸命前に前に進もうという気持ちで取り組んでいました。
 
Q:キャストはイケメン3人組ですが、どのような考えでキャスティングを?
 
監督:では、エディ・ポンについてお話します。『激戦』の時にすでに彼と一緒に仕事をしていました。このようなテーマの映画となると、同じように何もかも忘れて一生懸命取り組んでくれる、迫力のある役者が必要だと思いました。そこで彼を口説いたわけですね。彼にこういうふうに言いました。「あなたが出演してくれないと僕はこの映画を撮る自信がまったくない」と。今回の役については、演技はもちろん何より大事なのは意志そのものです。この映画は国際レースを語るわけですから、役者についてもインターナショナルなチームを構成したいと思い、役者の皆さんに同じことを言いました。「参加してくれた以上はチャレンジとして取り組んでもらいたい」と。
 
Q:今作を含め、監督はエディ・ポンさんを3作続けて起用していますよね。彼の俳優としての魅力を教えてください。
 
監督:彼はチャレンジ精神を持った役者だと思います。この作品を撮る前に半年間、エディ・ポンは自転車の訓練を受けました。ボクシングはリングの上に限られていますが、自転車となるとワンテイクを撮るのにだいたい4~5Kmは走って撮らなければならないので、プロのスポーツ選手と同じような訓練を一生懸命やっていました。この映画を撮影するために彼が自転車で走った距離は12万キロです。
 
Q:監督の近年の作品によく登場していた、強烈な、ドロドロとしたコンプレックスを持った人が今回の作品にはおらず、全体として爽やかなスポーツ映画という感じになっています。何か監督として心境の変化があったのですか?それとも、今回自転車をとりあげたからそうなったのでしょうか。
 
監督:『激戦』の時のテーマは、ある中年の男が危機に直面して自分をどうやって取り戻そうかと一生懸命戦っていくものでした。映画を撮り終わった時は私自身も気持ちが非常に重たいものでした。なので、次の作品は若々しさ、若者をテーマとした作品を撮りたいと思いました。どなたも同じだと思いますが、若い時はいろいろな悩みや困ったことに直面することがあります。そうした時に、どのように自分と戦い、自分を突破しようとするのか……。 例えば友情のために、チームワークのために何とかしようとするところを撮りたかったのです。
 
Q:映画の中のエピソードと同様に、実際にも自転車界では、臓器移植をして強くなった選手がいたり、今年から台湾の選手が世界最高ランクのランプレ・メリダに移籍した事実があるのですが、製作するにあたりモデルにした選手はいたのでしょうか?
 
監督:映画の準備段階でいろいろとリサーチをしました。香港チームのコーチや選手たちともいろいろと話をしました。実は香港チームは世界的にもレベルの高いチームで、私が非常に尊敬している選手もいます。登場人物の何人かは香港チームの選手からアイデアを得て描きました。例えば、サイモンとコーチの関係は、実際の香港チームの中の世界チャンピオンの選手とコーチの話を聞いて取り入れました。女の子の話も本当の話です。世界のレースに出場した彼女は、レースの途中で転び、骨を折って流血したにも関わらず立ち上がり、最終的には2位を獲得したという出来事が本当にありました。今回こういった部分を人物描写に取り入れました。スポーツ選手の皆さんの強い意志、戦いの精神に、私は毎回感動を覚えていて、今回も人物描写に取り入れました。
 
Q:ヘンリー・ライさんの音楽とのコラボレーションが特に素晴らしかったです。ロードレースを盛り上げる効果だけではなく、いつも以上に登場人物それぞれの感情に寄り添っていると感じました。いつもどのようにヘンリー・ライさんと仕事をされているのですか?
 
監督:私は毎回映画を撮る前に必ずその映画のテーマと関係のある音楽をまず見つけて、ずっと聴きながら撮影しています。『激戦』の時も大変有名な曲を見つけて、聴きながら撮影しただけでなく、実際に映画にも使いました。今回はスポーツ、それも自転車がテーマの映画なので、どうしたらいいのかと考えました。ヘンリー・ライさんとは何度もご一緒したことがありますが、彼もチャレンジ精神に満ちたクリエーターです。実のところ、彼とは仕事をするたびに大喧嘩しています。『激戦』が終わった時にも、お互いに嫌になって「あんたとは二度とやりません」というところまで喧嘩しました。そうやって喧嘩しながらも実は仲がよいのだとも思います。結局また一緒にやることになりましたからね。
今回はテーマがテーマなので、音楽には相当時間をかけなければならないと最初からわかっていました。ボクシングに比べて自転車はスピード感がありますが、観客を感動させる力については、どちらかというとボクシングよりは弱いのです。自転車の場合は躍動感がありますが、どうやって観客のみなさんを引っ張っていくかということを考えた時に、どうしても音楽の力を借りなければならないと。そこでヘンリー・ライさんといろいろな話をして、とにかく一生懸命考えました。彼自身にも大きな突破があったのかなと思います。非常に難しかったので、よくやってくれたと感謝しています。
 
Q:今回は日本で自転車に乗れそうですか?
 
監督:いま実は別の映画を撮っておりまして、まずはタイで撮り終えて、それから場所をマレーシアに移して撮っているんです。今回もマレーシアから東京に飛んできました。早めに来ましたので、この二日間、東京を楽しませていただいています。とても快適な時間・空間を与えていただいたような気がします。いつか日本を自転車に乗って走り回るのが私の夢なので、期待しています。
この映画をご覧になったみなさんに、最後に一言申し上げたいと思います。みなさんそれぞれ人生を送っていますが、必ず自分の人生の中の風よけをしてくれる人を見つけてください。その風をよけてくれる人は、あなたのパートナー、あるいはあなたの友達かもしれません。そういう方たちをとにかく大事にして、一緒に幸せに暮らしてください。
 
※「破風」とは中国語で風よけと言う意味

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