映画祭最終日、第27回東京国際映画祭に参加していただいた審査委員・ゲストの皆様にインタビューを行いました!
写真撮影:学生応援団・第27回東京国際映画祭ボランティア(一部除く)
コンペティション部門出品
『来るべき日々』
ロマン・グーピル監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
東京を訪れるのは今回が二度目でした。初めて来日した際は本当にびっくりしました。まったく異なった伝統と出会ったからです。ですがここの人々や日本の全てが好きになりました。コンペティション部門への出品で招待された時は本当に嬉しかった。何故なら妻とともに八日間もここで過ごすことができたからです。唯一残念だったのは京都に行けなかったことですね。東京に来ると多くの人がいて全てのことが急速に起こっていることに気づきます。
『アイス・フォレスト』
クラウディオ・ノーチェ監督
Q: この作品にはどのようなメッセージを込められましたか?
歴史は変わらないということでしょうか。20年前、平和と避難場所を求めて実際の戦争から逃れるため、故郷を出てイタリアに来た人々がいます。現代で言えば、別の戦いから逃げ出して来る人々がいます。それは飢餓による問題でしたり、信じる生き方が出来ずに新しい世界を見つけに来る人々です。
そしてこの映画のサイドメッセージは、登場人物が皆真実を探しているということです。各登場人物によってそれは異なりますが、それぞれが真実を探しています。またその為に彼らはみんな救いを求めているのです。
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
ここに来る事ができて光栄に思っています。中でも一番良かったのは、観客と劇場で一緒に過ごせたことです。そして興味深かった事は自分の映画が遠く離れた異国の地でどのように受け止められたかを知ることができたことです。観客がどう感じたかを聞いたり、質問に答えたりするのが楽しかった。ただ、十分な時間がありませんでした。日本の観客達とこのように過ごせたことが私にとっては映画祭の一番の賞でした。
俳優:アドリアーノ・ジャンニーニさん
Q: 役を演じる上で苦労した点はどのような事ですか?
プロの俳優や、現地のプロではない人々と演技をしたことです。私はローマ出身ですので地元の人々に合わせて演技をするのが難しかった。ですが一度コツを掴むと、その後はとても簡単でした。
Q: 撮影は長くかかりましたか?
5週間かかりました。
Q: とても寒かったでしょう?
寒かったけれど良かったです。足が冷えると目が覚めるから良い演技ができます。
Q: 森がとても美しかったです。
そうです。あの地域は美しい。イタリアは太陽だけではありません。北側にはああいった風景が広がっています。
Q: あなたにとって映画産業でのヒーローとは誰ですか?
沢山いますが、今はベルナルド・ベルトルッチです。お年を召されていますが、彼が私のヒーローです。
審査員特別賞受賞作品 『ザ・レッスン/授業の代償』
ペタル・ヴァルチャノフ監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
嬉しいですし、TIFFが世界でも有数の素晴らしい映画祭と知っていたのでとても光栄に思っています。既にサン・セバスチャンやトロント-ニュー・ワールド・シネマにも出品をしていますが、これが我々にとっては初のメイン・コンペティションでアジア・プレミアでの参加でした。2009年にブルガリアの映画がグランプリ、最優秀監督賞と最優秀男優賞を受賞したことも嬉しい事の一つですし、それが良い伝統になっているとも思っています。とても有難い事です。
Q: 東京は初めてですか?
はい、そうです。東京も映画祭も初めてです。良い意味でブルガリアとは違うところも沢山ありましたし、美しくて、日本食もおいしく健康的だと思いました。一つの食事に色々な要素がありますね。私はブルガリアでは魚は嫌いですが、日本のものはパーフェクトです。
Q: この作品にはどのようなメッセージを込められましたか?
問いを投げかけています。問題の答えを導き出すために扇動しています。何が良くて何が悪いのか、誰が犯人なのか、誰が犯人ではないのか、普通の人間がどのように犯罪者になっていき、なぜ犯罪を犯すような選択をしたのか。人を判断する前に、こういった疑問を持つべきです。これがこの映画のメッセージです。
Q: 次はどんな映画を撮りたいですか?
次回の作品も低予算になると思います。私個人のとてもパーソナルなプロジェクトになると思うので、監督ではなくプロデュースに専念します。そしてもう一つは、『ザ・レッスン/授業の代償』の成功によりブルガリアの助成金を初めて得て、3部構成の中の第二部となる映画を創作します。今回の『ザ・レッスン』が第一部で、スタイルも似ています。来年の年末に撮影をする予定です。
あらすじは線路で数百万もの大金を見つける鉄道従業員の物語です。彼は政府にお金をわたし、その代わりに贈り物を受け取ります。私のしているようなこんな時計ですが不幸にも時計は偽物で一週間後には止まってしまいます。鉄道で働く彼にとってそれは思わぬ大問題へと発展して行きます。不条理な状況の中で繰り広げられるコメディで、スタイルは『ザ・レッスン』に似ています。
『メルボルン』
ニマ・ジャウィディ監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
素晴らしいです。とても美しい街です。東京を忘れる事は無いでしょう。日本に来たのは初めてで、何故神秘的に感じるかは分かりませんが、とても好きなのです。映画祭も最高でした。
Q: 主演の女優さんの美しさが印象的でした。
彼女はネガル・ジャワヘリアンです。イランで最も有名な女優の一人です。確かに彼女は美しいですね。
Q: この作品にはどのようなメッセージを込められましたか?
5-6年前の話になりますが、友人達と田舎を旅しました。友人の中に生まれたばかりの赤ん坊を連れたカップルがいて、ある朝、彼らは散歩に出かけることになりました。私も誘われたのですが疲れているのでと断り、赤ん坊と一緒に後に残りました。赤ん坊は眠っていました。少したって、私は赤ん坊が何故目を覚まさないのか心配になりました。音をたててみると、幸いにも赤ん坊は目を覚ましてくれました。その後も赤ん坊のことが私の記憶に残りました。もし、事故が起こっていたらどうなっていたのだろうかと思いました。私の映画の題材はこの体験に基づいています。脚本を執筆するのに11ヶ月を費やし、71日間で撮影を完了しました。私は映画を創作する際に最も大切なことは脚本作りだと信じています。
最優秀女優賞(宮沢りえさん)、観客賞受賞作品 『紙の月』
吉田大八監督
Q: 今回の東京国際映画祭で出品作品はご覧になりましたか?
コンペティション部門の『来るべき日々』、『アイス・フォレスト』、『ザ・レッスン/授業の代償』、ワールド・フォーカス部門の『実存を省みる枝の上の鳩』の4作品を観ました。
本当はもっと観たかったのですが、それぞれ面白かったです。普段、自分の好みで観ている映画は偏っていたなと思いました。
このような映画祭で観る作品というのは、普段だったら通り過ぎてしまう作品だったかもしれないので、とても楽しかったです。
『ザ・レッスン』は『紙の月』とモチーフが似ていて、(プログラミング・ディレクターの)矢田部さんに「意地悪したんでしょう」と言いました(笑)。
Q: 観客賞の受賞について
とてもうれしかったです。
多くの観客からの支持をもらえたということで重く受け止めましたが、これで弾みをつけて公開(2014年11/15より一般公開)に向かえるのでうれしいです。
観客賞を取ったことで(観客賞は事前発表)、宮沢りえさんが急遽授賞式に来てくれました。
来たからではないでしょうが、女優賞もいただけて、宮沢さんは持ってるな、と思いました。
『破裂するドリアンの河の記憶』
エドモンド・ヨウ監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
本当に最高で素晴らしかったです。私にとっては帰郷のように感じられました、何故なら私はこの5年間、東京を拠点に置いて活動をしていたからです。日本語も達者です。(日本語で)「こんにちは、私はエドモンド・ヨウです。マレーシアから来ました。『破裂するドリアンの河の記憶』の監督です!」
Q: この作品にはどのようなメッセージを込められましたか?
メッセージは私達と歴史との関係についてです。例えば歴史が常に繰り返されているということ。私達は過去を知る必要があります。そうする事で未来に対処する事ができるのです。この作品は一面を飾った出来事とフイ・リンとミンの物語です。
Q: 撮影で最も大変な事は何でしたか?
全てが素晴らしかった!17日間という短いスケジュールの中で映画を撮り終える必要がありました。低予算での撮影だったのでスタッフもキャストも少人数。ですが楽しかった。私達は家族のように仕事をしました。苦しい時や疲れた時もありましたが、とても楽しかったです。
最優秀芸術貢献賞、WOWOW賞受賞作品 『草原の実験』
アレクサンドル・コット監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
今回は日本、そして東京は初めてで、大好きです。初日は、東京に着いたとき、夢の中にいるような感覚で、とても素敵な夢でした。今も、この夢がずっと続いて欲しいと思っています。
また、人もとても素敵で、みんなに愛されているように感じます。この気持ちが笑顔で隠されているのではなく、本当に愛されているように感じますし、東京の街も、全てが人を想って作られていて、とても便利です。空気もきれいです。寒くもないし暑くもないという気候もとても快適です。幸せです。3日だけというのはとても残念ですが、また来ます。約束します。
東京国際映画祭のとても素敵な映像や技術に驚きました。そして、スタッフの対応に感動しました。迷った時などの案内がしっかりしていて、素晴らしいと思います。賞などもとても素敵です。要するに全てが最高でした。
アジアの未来部門
『雲のかなた』
俳優:ペペ・スミスさん
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
言葉では言い表せませんね。素晴らしかった!毎日が私にとっては東京国際映画祭でした。これが初めての映画出演だったので感無量で言葉が見つかりません。本当に有難う御座います。フィリピンに戻ったら友人達にここでの出来事を伝えます。
R-18文学賞 vol.3 『マンガ肉と僕』
杉野希妃監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
今回が映画の上映としては4回目の参加だったのですが、初めて監督として参加させていただいて、観客の皆さんですとか映画祭スタッフの方々の熱気が例年以上に伝わってきて、改めて良い映画祭だと思いました。
Q: 女優さんと監督さんを両方なさってますが、違いというのはありますか?
映画を作る、表現をするということにおいては、どちらもあまりボーダーがないと思います。全部を一緒にして、一つの作品を作り上げるという感覚でしているのであまり違いについては考えたことがありません。今回は両方ともやらなければならなかったので、そういう環境を作ってくれたスタッフとキャストの方々には本当に感謝をしています。
『遺されたフィルム』
国際交流基金アジアセンター特別賞受賞 ソト・クォーリーカー監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
私の唯一の感想は心からの言葉です。東京国際映画祭は素晴らしく、名声もある映画祭です。全てが感動的でとても意味が深く、気力にみなぎっています。東京国際映画祭はアジア全体、さらには全世界の人々と繋がっています。この映画祭のスピリットはとても素晴らしく、楽観的で希望に満ちています。私が一番好きな事は新たな世代に物語を表現させる機会を与えているという事実です。それは素晴らしい事だと思います。東京国際映画祭の素晴らしいスピリットを言葉で言い表すことはできません。
日本映画スプラッシュ部門
『Starting Over』
西原孝至監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
仲間三人で撮った自主映画なので、こういった場に呼んでもらえるとは思っていませんでした。すごく楽しかったです。
(「ありがとうございました。」と離れようとするスタッフに)あっこれだけで大丈夫なんですか?(笑)
スペシャル・メンション 『滝を見にいく』
沖田修一監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
オーディションで選んだ女性たちに出てもらったので、皆でこうしてカーペットを歩いたり、こういう機会をもらったので、本当に嬉しかったです。
作品賞受賞作品 『百円の恋』
武 正晴監督
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
世界中の作家が自分と同じような気持ちで映画を作っている、ということに対してすごく勇気をもらいました。我々以上に厳しい状況の中で映画を作っている人たちの映画というのは本当に心に伝わるのだな、と。特に今回受賞した方達の作品が皆そういう作品だったので、国際映画祭のこの映画を選んだ方達の思いというのが、これからこの映画を観る人たちに伝わるのではないかと思いました。
僕はたまたま受賞作品を全て見ていたので、それがすごく良く分かりました。この映画祭は、今年はちょっと違うなと感じます。そしてそこに自分がいられたというのがすごく良かったですし、僕の『百円の恋』という作品も、外国の人たちがすごく評価してくれているというのがとても嬉しいです。
Q: 上映後のQ&Aに参加されたご感想は?
日本の観客というのは外国の映画祭に比べると遠慮がちな方が多いので、どちらかと言うと僕たちの方から投げかけてあげた方が色んな話が出てきます。僕らが経験をした映画祭のように、お客さんの質問の仕方というのをうまく誘導してあげられたら良いなと思います。やはり他の外国の映画祭というのは、お客さんの質問が凄いのでタジタジになります。そういうのを経験しているので、東京国際映画祭もこれからそういう風になっていくと思っています。
WOWOW「映画工房」150回記念!公開収録 in 東京国際映画祭
俳優:斎藤 工さん
Q: 東京国際映画祭に参加された感想をお聞かせください
僕は4年目の参加なのですが、場所と、映画祭と、その他も全ての要素がすごく健康的につながっていた気がしています。ティム・バートン監督の登壇とか近年でもとても良い盛り上がりをみせたと思います。「来年もまた来たい」となる人が多かった映画祭だと思いました。
Part1:審査委員&フェスティバル・ミューズ/ナビゲーター編
第27回東京国際映画祭に参加していただいた、全ての皆様、本当にありがとうございました!