節目の年、進化し続ける映画祭
1985年に始まった東京国際映画祭は、今年で30年という節目の年を迎えます。
第28回の本年、4Kデジタルで蘇った『乱』のジャパンプレミア上映があり、その『乱』が第1回のオープニング作品だったことは感慨深いものがあります。
アジア最大級の映画祭として認知度を高めていくために、世界中から集まった優良な作品を厳選し、上映する。その受賞した作品が、映画ビジネスにおいても良い結果をもたらす場となることが、東京国際映画祭として重要です。また、日本の映画を海外に発信する場として、東京国際映画祭が果たす役割を重く受け止め、日本映画の多様な作品群、最新作からクラシック作までを上映する部門を今年新設し、日本の強力なコンテンツであるアニメーションも昨年同様、注力していきます。
さらに、海外の映画人と映画を通しての文化交流を深める一環として、昨年より国際交流基金アジアセンターと共催で、アジアを中心とした若手クリエイターの支援、並びに、世界へ向けて作品を発表する枠組みを作りました。
今年は、会場を従来の六本木ヒルズのほかに、新たに新宿地区の映画館を利用して上映本数を増やし、来場者の増加を目指すとともに、一般社団法人新宿観光振興協会のご協力を得て「第36回大新宿区まつり」のひとつである「新宿芸術天国 2015」とも連携し、街ぐるみでの協力体制のもと、映画祭の楽しみ方を多彩にする、「お祭り」に相応しい盛り上げを図りたいと思います。
映画祭期間中、連動する TIFFCOM には、バイヤーやセラーが集まる拠点となってビジネスへの波及効果を期待し、映画業界のみならず、クールジャパンに該当する日本の優れたコンテンツとの連携も積極的に推し進めてまいります。そして、日本文化の象徴である歌舞伎座での映画上映を実施し、歌舞伎との融合による東京ならではの文化、おもてなしの形を海外へ大きくアピールします。
本年のこうした新たな取り組みに対し、昨年にも増して、皆様方のご協力とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
第28回東京国際映画祭(TIFF & TIFFCOM)ディレクター・ジェネラル 椎名 保 |
椎名 保(しいな やすし)略歴
1951年東京生まれ。74年3月早稲田大学理工学部卒業。同年4月住友商事株式会社入社。87年 同社映像メディア事業部参事。91年株式会社アスミック(現アスミック・ エース株式会社)取締役映像事業本部長。98年アスミック・エース エンタテインメント株式会社(現アス ミック・エース株式会社)代表取締役専務を経て、2000年同社代表取締役社長就任。04年株式会社角川エンタテインメント代表取締役社長就任。09年角川映画株式会社代表取締役社長就任。11年株式会社角川書店代表取締役専務を経て、 現在は株式会社KADOKAWA特別顧問を務める。公職は外国映画通関連絡協議会会長、一般社団法人外国映画輸入配給協会副会長など多数。 |